当校の調理コースでは、毎年有名な料理人の方に
講師としてお越しいただき、特別講義を開催しています。
今回は9月11日(金)に行われた、
調理コースの特別講義の様子をご紹介します。
今年は新型コロナウイルスの影響により開催が危ぶまれましたが、
検温等の体調管理や、フェイスシールド・ゴーグルなどで感染予防を
するなど徹底した対策を講じ、無事に開催することができました。
今回お越しいただいたのは、京料理の老舗
木乃婦のご主人 高橋拓児先生
毎年当校にお越しいただいており、今年で5回目となります(^o^)
今回は先生方にも検温やゴーグル・シールドなど感染防止対策に
ご協力いただいた上での特別講義となりました。
今回の講義とデモンストレーションのテーマは
「晩秋から初冬の会席料理」と「盛り付けの極意」です。
まずは料理人としての考え方や料理を作る上で大切なことについて
教えていただきました。
料理そのものの知識や技術を習得することはもちろん、
「味覚の科学」「安全と食品衛生」「日本や世界の食文化」
などの学科分野の習得も重要であること。
さらには「建築・造形」「哲学・倫理学」
「マーケティング・メディア」など料理とは関連が
なさそうなこともすべてに関連性があり、その知識も広く
習得することで料理の幅が広がることなどを教えていただきました。
先生の幅広い多くの知識の中から、経験談も交えつつ、
興味深いお話をうかがいました。
また、デモンストレーションでは会席料理と
盛り付けについて、実際に調理をしながら教えていただきました。
日本料理において大変重要な「出汁をひくこと」
木乃婦では最上級の昆布と鰹節を使い、
じっくり時間をかけて出汁をひいておられます。
今回は特別に学生もその出汁を試飲させていただきました。
「こんな出汁初めて!」と驚いた様子でした。
水によってうま味の出方が違うことなど
最初の「味覚の科学」に通ずる内容もあり、
美味しい料理を作るには、様々な要素が関連していることを教わりました。
もう一つ試食させていただいたのが、先付の「胡麻豆腐」
分量や練り方、練る人によっても味が変わってくるそうです。
菊の花になるように丁寧に作ることや、
どのような器に盛り付けるかによっても
料理の印象ががらっと変わることを教わりました。
試食した学生は「口当たりがなめらか溶ける。
語彙力がなくなる美味しさ!」と感動していました!
さらに海のものと山のものを使うのが
原則である会席料理の「八寸」。
旬の食材を使った料理は季節を感じますが、
盛り付けや器の工夫でも季節を感じることができます。
また、どこになにを置くか、余白をどのように使うかに
よっても印象が変わってくることを教えていただきました。
「晩秋の八寸」
「初冬の八寸」
同じ料理でも器やあしらいが異なるだけで、
こんなにも異なった印象に!!
これは最初の「造形」にもつながるお話で、
料理の奥深さを感じました。
これ以外にも「造里」
「お椀」
「焼き物」
「炊き合わせ」
「ご飯(加薬ご飯)」
それぞれの料理の説明や
料理ができるまでの過程、その文化や歴史など
詳しく教えていただきました。
高橋先生の料理に対する想いや、料理以外においても
重要な心得について教えていただきました。
料理を多角的に研究し、様々な分野を組み合わせて
新しいものを創造しておられる先生だからこそ
お話いただける内容ばかりで大変興味深く感じました。
日本料理を志す学生はもちろん、他の分野を志す学生も
大変有意義な時間となったことと思います。
高橋拓児先生ありがとうございました。